イーグルアイ

私は生まれつきイーグルアイを持っている。ホークアイとも言う。武道では八方目と言う。周りの様子が分かる能力だ。車で走っていると、周りの何台かの車がどういう挙動をしていて、何をしたいのかが分かる。雑踏を歩いていると、周りの人がどこへ向かって歩いているのかが分かる。

これで私が戦闘機パイロットであったなら良かったのだが、私はただの一般人。この能力を何に使っているかというと、他人に迷惑をかけないためにだけ使っている。車で言えば、他の車が無駄なブレーキやアクセルを踏まなくてよいようにしているし、歩いている人で言えば、ぶつかったり、立ち止まったりしないで済むようにしている。

これまではこれでうまく行っていたのだが、近ごろ頭の悪い人が増えてきて、私がいくら努力をしても、うまく行かない例が出てきた。二人分の幅しかない歩道で、並んで歩いていて、前から別の人が歩いて来ているのに、一列にならないようなバカがいるのだ。これではイーグルアイを使う云々どころの話ではない。どうしてこんなバカが増えてきたのかを考えると、ちょっと暗澹たる気持ちになる。人類がこの先長く繁栄していけるかどうかの問題だ。

他人も含めて、トータルで最も得になる行動を選ぶことができれば、人類の繁栄はまだまだ続くだろう。自分がちょっとくらい損になっても、他人を含めた全体の得が大きいならば、そちらを選ぶことができるのが人間に与えられた数少ない偉大な能力だ。この能力を使わなければ、食糧問題にせよ、地球温暖化にせよ、解決は難しい。もし、これからも人類が長く地球に君臨したいのならば、この能力をフルに発揮しなくてはならない。ところが、雑踏を歩くなんて、極めて簡単な場面であっても、先に述べたような様に成り果てている。これでは人類もそう長くはないなと思わざるを得ないのだ。

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